第014回 『人権』という考え方
ポイント:『人権』の歴史、そして、考え方
その1 人権思想
『人権』って、
人が生まれながらして持っている人間としての権利
です。
では、『基本的人権』とは、なんでしょう。
個人として尊重され、自由に生き、安らかな生活を送ることを権利として保障したものです。
『人権』が保障されるまでの社会は…
まず、自由が欲しかったのです。
権力者(国王)の支配から逃れたい。(近代革命のとき、独立戦争がありました)
その2 人権思想の広がり
まず、自由権(表現の自由、信教の自由)が人権宣言で保障されたのです。
奴隷がいましたから。国王がいましたから。
自由がみんな欲しかったんです。
でも、わがままという名の自由ではないですよ。
さて、19世紀、資本主義経済が発展すると資本家と労働者の間で貧富の差が生まれました。
労働者はというと…
安い賃金で長時間労働を虐(しいた)げられ、いい思いなんて、感じる暇も余裕もなかったのです。
これでは、いけませんね。
参政権を国民に求める『普通選挙運動』や労働運動が広まったのです。
日本において、男女が普通選挙を行われるようになったのは、
ごく最近のことですよ。
しかも…それまでは、制限選挙だったですから。住所、名前を記入しないと
投票できませんでした。しかも、官憲が投票の様子を見張ってましたから。
覚えているでしょうか。
自由権の獲得をしたら、次は、社会権の保障です。
社会権:人々の社会生活を経済的に保障する権利です。
社会権を保障した最初の憲法:ワイマール憲法(1919)
この憲法では、社会権のなかでも、『人間に値する生存(生存権)』を保障しました。
人権が各国の憲法において保障されるようになったのは、第二次世界大戦後のことです。
現在では、国際連合の『世界人権宣言』などに見られるように世界的に保障される『人権』になったのです。
今日の公式
『人権 = 世界共通の理念』
その3 日本における人権思想
明治時代:欧米から人権思想が伝えられました。
日本で最初の人権思想:大日本帝国憲法
主権者:天皇(国民ではありません)
『人権』は、天皇が恩恵によって与えた『臣民の権利』、法律より制限されたのです。
簡単にいえば、反政府の考えは持てなかったということです。
どんなに当時の政府が悪いことをしても…
集会もひらけず、新聞に書くこともできない…
そういう世の中でした。
反対意見が言えない、つまり、いえば、弾圧され、自由な意見は抑圧されたのです。
日本国憲法が制定され、はじめて、法律によっても制限されないようになったのです。
『人権思想のめばえ』に関連するきまり
① マグナ・カルタ(イギリス)
貴族の特権を守るため、国王の支配を法で制限。
『法の支配』の元になりました。
② 権利章典(イギリス)
『自由・平等の確立』に関連するきまり
① アメリカ独立宣言
ロックの影響を強く受け、人として生まれながらに持つ権利(自然権)を主張しました。
② フランス人権宣言
自由権思想の集大成。以後諸外国の憲法や政治に多大な影響を与えました。
『日本での憲法』
① 大日本帝国憲法
法律の範囲内で自由や権利が認められました。
『社会権の確立』に関連するきまり
① ワイマール憲法
生存権など、世界で初めて社会権の考え方を取り入れました。
『日本での人権と民主主義の確立』に関連するきまり
① 日本国憲法
『人権の国際的保障』
① 世界人権宣言
人権の保障を各国に促しました。
それでは、人権思想の発展についてまとめてみましょう。
18~19世紀に自由権が保障されるようになり、
20世紀に入ると社会権が取り入れられました。
第二次世界大戦後、世界人権宣言などのように、
人権が国際的に保障されています。
それでは、今回はこの辺でおしまいにしましょう。